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昨日読んだ本の一節
森博嗣 「四季 秋」より

「歴史的に築かれたモラルは、そのほとんどが、生命を守るために、我々が存続するために選ばれた手法の一部なんだ。人を殺してはいけない。人を食べてはいけない。血縁者と交わってはいけない。生命は神聖なものだ。人は神によって作られた。堕胎をしてはいけない。自殺をしてはいけない。しかし・・・・・・」犀川は煙草を吸い、そして煙を吐いた。「それらはすべて、結局のところ、人の集団を守るためのエゴでしかない。自然を破壊してはいけない、何故か?それは人が生きにくくなるからだ。あらゆる道徳は、そのエゴから発している。それが良い、悪いという話をしているのではない。誤解しないで。我々のモラルと、真賀田博士のモラルが違うのは、その基盤が、人間社会にあるのか、それとも、彼女自身にあるのか、その差だ。彼女にとっては、自分自身が世界の中心にある。僕たちは、社会の中心にけっして自分を置こうとはしない。最初から、自分の存在を他人に預け、歴史に預け、役割を担うことを恐れ、働きかけをしないよう、避けている。僕達は、平穏無事に、ただ安穏と生きていければ良い、毎日が楽しければ良い、美味しいものが食べられれば良い、自分だけが病気にならなかったらそれで良い、と考えている。さて、いったい、どっちが本当のモラルだろう?どっちが真のエゴだろう?」






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スレッドテーマ [ 小説・文学 … 読書 ]
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